今回は2020年1月からアニメ放送が決定した大人気漫画「ランウェイで笑って」をご紹介いたします。
服好きな当メディア編集者が「ランウェイで笑って」の魅力を本気で語っていきますよ!
この作品のポイントは【キラキラ輝く若者達】×【大人達の本気の焦り】です。
目次
「ファッション」×「少年漫画」のバランスが絶妙。
ところで「ランウェイで笑って」以外のファッション漫画・芸能関連の漫画といえば何を思いつくでしょうか。
私が真っ先に思いついたのが、矢沢あいさんの「パラダイス・キス」、槇村さとるさんの「リアル・クローズ」、岡崎京子さんの「ヘルタースケルター」でした。
すべて私が大好きな作品ですが、一つだけ欠点をあげるとすれば
ファッションを題材にするあまり、作者の個性が色濃く反映されてしまう点。
(もちろん異論は認めます。)
特に矢沢あいさんのNANA・パラダイス・キスなどは、どのキャラクターを見ても「矢沢あい」ってすぐにわかる。
それは漫画家としてすごいこと思うのですが、どうしてもアート色が強すぎて「絵」として見てしまう。
もちろんこれは「矢沢あい」さんへの褒め言葉ですよ。
しかし「ランウェイで笑って」はそこが絶妙なんです。
「ランウェイで笑って」で掲載されているのは少年マガジン。
少年マガジンで掲載されている他の作品との調和を意識しないと「ランウェイで笑って」だけが妙に浮いてしまう。
反対にファッション漫画で、なおかつモードコレクションを扱うため、ある程度尖っていないとファッション漫画としての魅力も半減されてしまう。
バランスが取れている要因として、
- 「逆境に立ち向かう」「ライバルに立ち向かう」という少年漫画王道のストーリー展開。
- 作中のキャラクターが本気で喜怒哀楽を表現する。
- 縫製、ドレープ、キャラクターの服装、などこだわりが随所に感じられるが大きく主張はしない。
この作品の良さはあくまでも「少年漫画になっている」点にあると思ってます。
作中のキャラクターが生み出すコレクションの引き出しの多さ。
「ランウェイで笑って」の大きな魅力は作中に登場するデザイナー達。
しかもデザイナーの個性を「服」で表現している点にあると思っています。
ただ難しいのも事実。
服の引き出しが多くないとデザイナーの個性が反映されない。
憶測で書いて恐縮ですが、作者さんかなりコレクション好きです。
おそらく特に見ているのが、ジョンガリアーノ(多分ディオール時代?)、イッセイミヤケ、コムデギャルソンあたり。
もちろん他もかなり見ているかと思います。
作中に登場する、綾野麻衣の白のライダースに黒のロングスカート。
明らかにコムデギャルソンの川久保玲に似せている。
しかも川久保玲が着用しているルイスレザーのライトニングにちゃんと似せているのがニクイです。
他にも育人が千雪のお父さんに対して、デザイナーになりたいと直談判するシーン。
キャップ+黒パーカーにダボっとしたパンツ。おそらくY-3からの影響か。
育人が芸華祭で発表したチェックはおそらくヴィヴィアンか、ギャルソンからの影響か。
柳田が育人と作ったカプセルコレクションはイッセイミヤケの影響か。
当たり前かと思いますが、作者のファッション好きが随所に見られてとても良い。
大胆な光の使い方
千雪と心ちゃんなどモデル陣も「ランウェイで笑って」の大きな魅力。
特にすごいのが、モデルのオーラの書き方。
私は漫画を書いたことがないですが、強いオーラ(光)を書こうとすると背景は黒くしないといけないと考えていました。
●参考までにこちらをどうぞ。
(漫画家さんによる様々な光の描き分け方についての解説がとても勉強になると話題に)
しかし「ランウェイで笑って」の場合、背景を「黒」ではなく「白」で表現し、「白」の背景に対して「細い線」でモデルを書くことによって、モデルのオーラを表現している。
私の中では結構、革命でした。
うまく表現できるかわからないですが、オーラを「強くする」のではなく、オーラを「神々しく」表現して「強さ」をアピールしている。
おそらく「ランウェイ」という舞台だからこその表現じゃないでしょうか。
ランウェイの特性上、モデルを見やすくするためにライトは天井・後ろからライトアップされる。
※私は照明に関しては素人なのであくまでも憶測です。
※参考までにサンローランのコレクション載せてます。
ただモデルが歩くだけだと、千雪や心の「モデルとしての魅力」が減ってしまう。
それを作者の画力によってカバーしてしまう凄さ。
凄すぎます。
「才能と嫉妬」が色濃く現れる作品。しかしそれ以上に作中のキャラクターが周りを大切にする。
ここからはストーリーについて。
ファッション漫画・芸能関連の小説・漫画ってどうしても「才能と嫉妬」がテーマになりやすい。
確実にドロドロする印象です。
小説だと林真理子さんの「野ばら」とか、岡崎京子さんの「ヘルタースケルター」なんてもうドロドロ中のドロドロです。
しかし「ランウェイで笑って」ってものすごく爽やかですよね。
その要因と感じたのが「作中のキャラクターが自分勝手にならず周りを大切にする」点。
作中のキャラクターももちろん嫉妬します。
特にヒロインである千雪。
158cmという身長でパリコレを目指す千雪。
その中で私が好きなシーンは主人公の育人が千雪に対して、デザイナーの心を紹介するシーン。
「181cmという体格+モデルとしての絶対的なオーラを兼ね備えるが、実はデザイナーになりたい女の子」である心。
千雪にとってこれほど嫉妬し腹立つ人間はいないはず。しかし千雪は心とタッグを組み芸華祭のモデルとして協力する。
※これ以上書くと完全なネタバレなので抑えます。笑
この漫画はあくまでも少年漫画。嫉妬へのアプローチが爽やかで読者をイライラさせないんです。
大人の「才能への嫉妬」は本気で嫉妬させる。
当たり前ですが、ファッション業界は大人たちで構成されています。
もちろん「ランウェイで笑って」も同様、様々な大人たちが登場します。
育人の師匠にあたる柳田、綾野麻衣、セイラ、佐久間美依などなど。
「ランウェイで笑って」で作中に登場する若者たちは、周りと協力しますが、大人たちは本気で嫉妬します。
特に印象に残ったのがセイラのこのシーン。
「181cmという体格+モデルとしての絶対的なオーラを兼ね備えるが、実はデザイナーになりたい女の子」である心にトロフィーを渡しますが絶対に嫉妬している。
セイラ自身は171cmで身長はモデルの中では大きくない。
そのビハインドをたゆまぬ努力によって、トップモデルとして活躍している人物。
そう、「ランウェイで笑って」で登場する若者達は、大人たちにとって「嫉妬の対象」でしかありません。
はっきり言って大人たちは千雪・育人・心などの若者たちの存在がうざくてたまらないはず。
その嫉妬表現がうまいんです。本気で嫉妬させている。
【キラキラ輝く若者達】×【大人達の本気の焦り】がこの作品をさらに面白くさせています。
「ランウェイで笑って」についてまとめ
「ランウェイで笑って」について熱く語ってみましたが、いかがだったでしょうか?
2020年1月からはアニメ放送が決定しております!
こちらもとても楽しみですね。
それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
本当に面白い作品。
ぜひ手にとって読んでみてくださーい!